もし、会社を経営している方、または、総務や経理等で、費用処理に携わっている方で、その会社に「旅費規程」がないのなら、作っておくべきである。
なぜなら、「旅費規程」を作っておけば、その金額で費用計上ができるからだ。
カラクリは、以下である。
旅費規程とは、そもそも、出張等で従業員を遠隔地に派遣する際に、いちいち、当該出張の経費を領収書絡みの雑用をなくすための制度である。
何に乗って、どこに泊まって、何を飲んで食べたか、それらはすべて出張の経費であるので、原則的には、「領収書」によって担保された「実際に使った額」が、費用とされるべきである。
しかし、いちいち、それらの領収書を出張者に取らせたり、保管させたりするのは、会社のみならず出張者にとっても手間がかかる。
長期に渡れば、それこそ一大事業である。
そこで、「旅費規程」を作っていて、たとえば、「東京から札幌までの出張があった場合、交通費に○○円、1日あたりの宿泊費に○○円、出張手当で○○円、飲食費に○○円を支給する。」と決めておけば、その額で費用化できるという塩梅である。
これらの額は、一般的な額であればよい。つまり、「割引前の値段の正規の料金」でいいわけだ。
つまり、「割引前の値段の正規の料金」以下で、出張できれば、その差額分だけ、脱税ができるという塩梅である。
実際には、金券屋で買った切符で飛行機に乗っても、正規の代金で費用化できる。
実際は、格安ビジネスホテルか漫画喫茶で泊まったとしても、正規のホテル代を費用化できるわけである。
当該旅費規程は、公務員が自分たちの裏金を捻出するために設けた制度とも言われている。
大学教授や公務員の「カラ出張」による裏金作りは、よくニュースに出てくるので知っている人もいるだろうが、こういう旅費規程のカラクリがあったわけである。
多数の公務員がやっているため、それと同属の税務署の人間が、私企業の旅費規程がらみの脱税を指摘することは少ない。
なぜなら、「藪を突いて蛇を出す」ような反撃が起きるとも限らないからだ。自分たちもやっているだろうし。
という次第で、「旅費規程」による脱税は、かなり合法的に可能な脱税なのである。
旅費規程を設けていないなら、ぜひとも設けるべきであろう。
顧問の税理士がいるのなら、相談して作ってもらおう。
個人的には、「こんなこと」もコンサルティングしない税理士の顧問など止めて、新進気鋭の若い税理士を迎えるべきだと思う。