「会社・企業」の数字は、その株主の構成によって、全く見方が変わる。
というか、全く逆の方向に進むのだ。
1つは「利益を出そうとする方向」であり、もう1つは、「利益を出さない方向」である。
ある会社・企業は、「利益を出そうとする方向」で会社の数字を練り上げていく。
主に、非同族企業の場合、利益を出そうとすることが多い。
非同族企業とは、経営と資本が分離している状態で、有体に言えば、オーナーがいて、雇われ社長(雇われ経営者)がいる会社のことである。
非同族企業は、会社の黒字を目指すことが多い。
というのも、雇われ経営者は利益を出さないと首になるからである。
逆を言えば、会社に利益が発生して税金を取られても構わないのである。
なぜなら、経営者の「財布」は傷まないからである。利益が出て税金が発生しても、取り分が減るのはオーナー(株主)だ。
非同族企業は、「黒字」を達成する粉飾や会計操作をする。たとえば、経費を計上しなかったり、架空の売り上げを計上したり、在庫を増やして益出しをする、といった塩梅である。
一方の同族企業というのは、先の非同族企業とは別に、「黒字を出さない方向」に、つまり「赤字を出そうとする方向」=「利益を出さない方向」に進む。
同族企業とは、経営と資本が分離していない状態で、有体に言えば、オーナー(株主)と経営者が同じ会社である。
このため、会社・企業に「利益が出てしまう」と、税金が発生する。
当該税金の発生は、オーナー(株主)の「財布」を直撃する。だから、経営者でもあるオーナー(株主)は、「赤字」を目指すのである。
赤字化には、経費の過大計上や、売り上げの控除、在庫を増やすといった方法が採られる。
こうした処理をすると税金が減るので、非同族企業では「会計操作」の意図と欲求が非常に強いと言えよう。
同族企業か、非同族企業かで、会社の数字は大きく異なる。実態を掴むには、ある程度の計算が必要である。