手取り(収入)のうち1割は貯蓄に回す、というのは、昔、人に言われた貯蓄方法なのだが、今でも実行しているとてもいい。
お金を貯めるのに、一番ベストな数字が「1割」である。
「貯蓄」というのは、多ければ多いほどよい、というわけにはならない。
たとえば、給料のうち10割を貯蓄するのは、よくはない。
なぜなら、収入のすべてを貯蓄に回すと、生きている「現在」がとても貧相になるからだ。
金を使わないから、視野は狭くなる。
旅行・遊行しないから、人物の幅も狭くなる。
吝嗇でせせこましい性格になる。
こういう「人間」になってしまうと、人間的な魅力に欠けるから出世は遅れるは、誰かに引き上げられたりもしないので、彼の将来はとても貧しくなる。
今が貧相なら、将来も貧相になるという塩梅だ。
自分を食いつぶすような、生産性のない貯め方は愚かだ。
もちろんのこと、明白な「意図」や「目的」「目標」があるのなら、手取り丸々を貯蓄に回してもよい。
店を開きたい云々の相応の理由があるなら、10割貯蓄でもいいが、そうでないのなら、給料のうちで何かほかの事にお金を回すべきである。
じゃあ、3割・5割・7割等々なら、よいのか?というわけだが、それもよくはない。
なぜなら、「継続」の点で、不安のある数字=厳しい数字だからである。
出費というのは、いったん何か事があれば、かさむ。膨れる。
その際、続けたきた貯蓄が続けられなくなるのが、先の挙げた割合なのである。
ずっと続けてきたのに、何かをきっかけに、やらなくなる、ということはよくあるのである。
で、結論として、「1割」を貯蓄に回すのは、継続という点で、本当に何とかなる割合なのである。
反対を言えば、3割・5割・7割の貯蓄は、きついのである。
多少、支払いがかさんで生活が厳しくなっても、何かを節約するなり節制するなりすれば、「手取り1割」分の額面は捻出できる。
続けられるという点で、「1割」の強制貯蓄は優れて現実的で、実効性の高い貯め方なのである。
さあ、給料が入金されていたら、その場で定期なりに振り返るか、自動引き落としで貯めていくことにしよう。