理由もなく売り上げが伸びている会社は、よくよく注意をしたほうがいい。
最低限、どういう原因で売り上げが伸びているのか、見極める。
たとえば、シェアトップに躍り出たとか、画期的な商品が生まれたとか、会社を買収して子会社化したとか、合理的かつ正当かつ、小学生でもわかるくらいの理由が見当たらないときは、その企業への投資を控えたほうがよい。
というのも、売り上げというのは、やろうと思えば、いくらでも「高めること」ができるからである。
代表的なのは、循環取引で、書類一枚、請求書一枚、契約書一枚で、何とでも形だけの売り上げを計上できるからである。
もちろんのことだが、売り上げの推移の話であって、「額」の話ではない。
売り上げが1兆を超えても潰れたスーパーはざらにある。
単年度の売り上げの額をあれこれいっても、ほとんど意味はない。
数年分の売り上げの推移を見てみて、そして、その間の企業の働き・動向と付き合わせてみる。
こうなると、単純に財務諸表だけでは、企業はわからなくなるので、日々、ニュースや雑誌に触れて、当該企業の情報を仕入れておかねばならなくなる。
ま、当然といえば当然だけれども、逆を言えば、日々まったく接しておらず、ほとんど知らない企業の株を買うのが、いかに危険かわかるように思う。
増収増益には、必ず理由がある。決して自然現象ではない。
さらにいえば、自然と売り上げが伸びるなら、自然と売り上げは落ちるだろう。
「粉飾」がわかって泣くよりも、鼻を効かせて選別することだ。
もっというと、そういう「粉飾」をしないといけないくらいに追い詰められている企業は、「競争力がない」「強い商品とサービス」がないということだから、投資対象にしてはいけない、ということになるだろう。