『これは、パレードを少しでもよく見ようと、全員が背伸びをするようなものだったのです。』
バフェットの経営するバークシャーは、現在では、保険・投資会社と評されるが、以前は繊維の会社であった。
繊維事業は、優秀な経営者・良好な労働者・卓越した技術という、優れた事業環境もってしても、うまくいかない、若しくは、低賃金で生産される外国の輸入品には競争に負けることを、バフェットに教えた。
このときの事業経験が、「がんばっても」「儲からない企業」には投資しないことが投資方針の中心になった。
何しろ、どれほど技術を革新しようと、すぐ同業者は同じ技術を持つようになる。
どれほど優れた商品を開発しようと、すぐ同業者は、同じような商品を開発する。
技術開発や商品開発にいくらお金をかけようと、その投下分を回収する前に、また新たな開発費用を捻出するか投下するかしないといけないわけで、収益は低迷を続けることになる。
バフェットは、繊維事業の同業他社との競争を、前文「これは、パレードを少しでもよく見ようと、全員が背伸びをするようなものだったのです」とたとえている。
とてもうまく表現されているなーと思う。
個々が合理的な行為をとっても、全員がその合理的行為をとれば、「結局は変わらない」という次第である。
しかも、「お金をかけて(投資して)、合理的な行為を取らないと、競争に負けてしまう」わけで、進むも地獄・戻るも地獄という踏んだり蹴ったりな状態になるのであった。
投資で重要なことは、「利益利益利益」とバフェットは言うが、そうだなと言わざるを得ないなー。胃が痛くなるよ。
バフェット「株主への手紙‐第3版」