PCFR:株価キャッシュフロー倍率

サマリー

PCFR(株価キャッシュフロー倍率)は、「Price Cash Flow Ratio」の略で、株価を1株当たりのキャッシュフローで割って算出する。当該企業の安全性と『実際性』を計るための指標。比較的新しい。重要な株式用語。

PCFR(株価キャッシュフロー倍率)とは?

キャッシュフローを簡単にいえば、「お金の流れ」です。

キャッシュフローは企業収益(利益)と違って粉飾し難いことから、企業分析上、重要な指標の1つです。

簡単に言えば、利益は粉飾しやすいが、お金の流れは嘘をつきにくい、というわけで、このことがそっくりそのまま、PCFRが生まれてきた背景と言っていいでしょう。

・利益は粉飾しやすい

「利益」というのは、実はやろうとすれば、いくらでも作り上げることができます。

「利益」は決算日にカウントされますから、その決算日以前に、何らかの『取引』をでっちあげればいいからです。

つまり、決算日の数ヶ月前に、「とても親しい人たち」「強い利害関係で結ばれた人たち」が集まって、お互いに契約を発注しあえば、「とりあえずの利益」が計上できてしまいます。

そして、決算期が過ぎたら、お互いにキャンセルなり、契約の取り消し、解除でもしておけば、財務諸表上には、実体のない「利益」だけが残る、と相なるわけです。

こうしたことは、昔からあったことで、舞台は「子会社」でした。倒産した山一證券も、含み損を抱えた株を子会社との売買で「付け合せて」「やり取り」して、決算を綺麗にしていましたね。

ま、しかし、こうした「子会社」による粉飾は、「子会社」の決算も合わせて公表しなくなりました。連結ってやつです。

しかし、これで粉飾がなくなるわけはありません。「子会社」が舞台の粉飾は、以降、「関係会社」なんてものを、その舞台とします。

株式の過半数を所有していないので、子会社じゃないよ、というわけです。しかし、ま、この関係会社へのチェックが厳しくなってきたので、沈下します。

ほいで次に生まれてくるのが、「組合」であったり「パートナー」であったり、「ファンド」であったり、たぶん「NPO」になったりしていくのでした。

利益と言うのは、「創造的に」作られてしまう、作りうるものであったのです。

・なんでまた利益は粉飾されるのか

一言で言えば、強い「インセンティブ」があるからです。

PERが10倍の株があったとします。1株利益100円で株価が1000円てな感じです。

1株利益が10円上がったとします。そうすっと理屈の上で、1株利益110円×PER10倍で、株価は1100円となります。

発行済み株式総数が100万株あったとします。そうすっと、1株あたりの利益10円のアップは、100万円かける10円の1000万円分の評価額アップとなります。

ここまでは、普通の現象なのです。

問題は以降に、「感情」と「強欲」が顔を見せ始める点です。

1株あたり10円の利益は、もとの100円からすると10%の伸びです。そうすっと、「この会社はいい」てな評価が生まれて、投資資金が流れ込み、株価を上げるけん引役となります。

そうすっと、その株価上昇分、時価総額も上がるというわけで、時価総額が増えれば、自社株を担保に資金を調達でき事業展開を加速できる、てなわけで、少しでも「利益」を出したい、嘘をついてでも、という「インセンティブ」は強烈にあるわけです。

・結託すればいくらでも、だけど「お金」は

ま、簡単に図式化すれば、「利益」というのは、会計上創造できるわけで、また、そうする「インセンティブ」も強いわけです。

書類さえ揃えば、できてしまうものなのです。

しかし、偽造しにくいものもあります。それは、「お金」です。

「利益」というのは、いくらでも書類の上で作り上げることができます。しかし、「お金」という現物は、架空で作ることができません。

口座振込みが主流の現在、どうしても「第三者」が関係せざるを得ません。だからこそ、粉飾しにくいのです。

たくさん売り上げているけど、その対価は受取手形や売掛金ばかり、少しも回収されていない、つまり、現金化されてないとなると、先のような「粉飾」が浮き彫りになっていくわけです。

売上や利益の規模は大きいけれど、キャッシュそのもののパイは小さいと、「なんだこりゃ?」となるわけです。

・PCFR(株価キャッシュフロー倍率)は、「目安」

PCFRが高い方がいいのか、低いほうがいいのかは、ホント、わかりません。

というのも、キャッシュの流れというのは、事業の流れと密接に関係しているからです。

大口の設備投資をしたあとで、決算期を向かえたら、全体的なキャッシュフローは悪化したことになってしまいます。

しかし、当たり前ですが、設備投資をするのは儲けのチャンスがあるからで、投下したキャッシュは、あとあとになってプラスのキャッシュフローになります。

キャッシュフローには、「営業」や「投資」という名前が付いてきますが、○○だからいい、悪いとは一概にいえません。

変な例ですが、創業者が引退して多額の退職金が支払われると、キャッシュは悪化します。

経営や事業というのは、何が起こるのかわからない以上、ある特定の指標を持って計り切ることは、難しいです。この困難がPCFRにも、色濃くにじみ出ています。

株価とキャッシュフローの流れが乖離していても、その企業は、大きく張ったあとの「収穫前」かもしれないし、そこそこの穏当な倍率でも、それがいいのかどうかは、わからない。

同業者間・ライバル会社間でも、その経営が一緒でない以上、キャッシュフローも違うわけで、なら、PCFRも大きな比較にならないわけです。

逆を言えば、あまりにキャッシュフローが定型的なのは、作為があっておかしくないように思います。

端的に言えば、最も即効性のある使い方は、株価が高い値をつけているのに、キャッシュフローの額が低いため、高PCFRの場合です。

かなり危険な兆候です。

要するに、すっごい期待されている事業に投資し続けているが、少しも売れておらず(好評を博しておらず)現金として回収できていない、というわけで、市場や投資家の「期待感」がなくなってしまうと、一気に暴落することになります。

素人目でも、高PCFR銘柄には、注意したほうがよいでしょう。

・PCFR(株価キャッシュフロー倍率)まで知ることが「分析」

こんな風に、PCFRはいったん紐解けば、難しい指標です。

その企業の経営や事業環境、戦略などを「よく知りたる者」しか、上手に使えないということができるでしょう。

つまりは、「前に資本投下した工場がうまくいっているのか、営業キャッシュフローがよくなっているな」なんて台詞をはくためには、相応の「知識」と「経験」、「分析」とが必要となります。

その企業の「キャッシュフロー」の正しさを理解できる者だけが、PCFRを真に使いこなせる、と相なります。

だから、めんどくさい指標なのですが、わかる人にとっては「わかる」ものなのです。

ですから、めんどくさいなと思ったら、その当該企業の現在を知るための1指標くらいに憶えて、忘れちゃえばいいでしょう。