領収書があれば、すべてが経費になって税金が安くなるわけではない。
何でもかんでもを領収書に入れると、余計に税金が高くなるケースもある。
たとえば、自家用で購入したパソコンやテレビの領収書を、事業に用したとして経費に計上したとする。
しかし、全く事業に関係のない使い方をしていれば、「自家用」に買ったものが発覚してしまう。
つまり、有体に言えば、係官に「じゃあ、そのパソコンの中を見せてください。事業に使っているかどうか調べます」と言われて、HDDの中を調べられ、事業に関係のない音楽やら動画のファイルがあれば、「私用」とみなされても、反論はできなくなるという寸法だ。
このように、自家消費や家族の使用の領収書を経費扱いしようとするなら、「調べられることもある」ことを前提に、知恵を絞らなければならない。
たとえば、先のパソコンであれば、デスクトップではなく、持ち運びのしやすいノートパソコンにして、つっこまれたときに「今日は家にある」と言えるようにする。
これだけでも、十分な時間的に対策が練られる。
個人的なデータは外付けに入れておくとかして、「公私の区別」をつけておかねばならない。
ブラウザのお気に入りには、私用のURLは入れない。キャッシュや履歴は電源を切った際にすべて消去する。
事業には関係のない、エロサイトばかりがお気に入りや履歴にあれば、その時点で、「私用」と認定されるだろう。
プログラムも極力、私用の個人的なものはインストールしない。ゲームとかは論外なので、USBから起動するようにするのが賢明だ。
社長やその家族の私用の経費を会社の経費に計上することを、業界では「ツケコミ」という。
ツケコミが発覚すると、損金としては当然否認されて法人税が増え、その「私用」分の領収書額は、社長への「役員賞与」としてみなされて、その分の所得税を、余計に払う羽目になる。
テレビ等の出費を、会社の経費で落とすのなら、計画を立てて、上手に「事業に要している」論理武装をするべきである。