相場師列伝:山崎種二

サマリー

相場師の「山崎種二」が印象に残るのは、自分の大好きな「米」で投資をしてきたこと。金になるならなんでもよい、というわけじゃなく、彼なりのしっかりしたモラルがあった。地道な調査と分析に基づき、米相場を張ってきたところにも共感を持った。

山崎種二とは?

山崎種ニ(やまざき たねじ)→こんな人
1893(明治26)~1983(昭和58)

群馬県出身。1907(M40)岩平村小学校高等科2年修了。翌年上京し、深川の米問屋山繁商店に入店し小僧をしているうちに米殻取引に通じ大儲けした。

1924(T13)独立を果たし、山崎種二商店を創設。米相場において「売りの山種」で盛名を馳せる。 1933(S8)株式市場に進出、山崎種二商店を設立。

米とは逆に「買いの山種」で基礎を固めた。 その後は、「売りの山種」の異名をとる。1940(S15)には辰巳倉庫(現・ヤマタネ)を創業した。

株式にも手を出し、1944(S19)山崎証券を設立し、自ら社長に就任。戦後は東京証券取引所理事、 全国米殻商組合会会長などを務め、兜町の相場師として知られた。

一方、種二は、戦前より近代日本画の収集に努めた。横山大観より「金もうけされるのも結構だが、この辺で世の中のためになるようなこともやっておいたらどうですか」と言われたのが契機となり、1966年に近・現代日本画専門の「山種美術館」を設立。

安宅コレクションの速水御舟作品の一括購入、また奥村土牛作品の収集など、種二のコレクションは質・量ともに比類のないものである。

自伝に『そろばん』(1972)がある。

「人名事典より」

・第一の感想-好物が「米」

上記の山崎種二の経歴は「コンサイス日本人名事典」を抜粋しているのですが、非常に無味乾燥です。オイラは城山三郎氏の経済小説「百戦百勝」を古本屋で見つけてゲットしたのですが、非常にユーモラスに種二が描かれており、ニヤニヤしました。

種ニは貧しい農家に生まれ、小僧として米問屋に出されました。郷里をでたときにはふところに86銭しかなかったとのこと。

この点、リバモアよく似てますね。

当時(明治40年あたり)はお米のご飯を食べれなくても普通の世の中で、そのためいっそう、「米」というものに執着できたのだと思います。

その執着こそ、米相場で生き残れた秘密かと。ちなみに「売り」から入るのは、「買い」だと値段が高くなって庶民が苦しくなるからとのこと。

「百戦百勝」の食事シーンは、主人公の米好きが反映され、ほとんどがお米を食べる場面です。

米三杯、味噌汁二杯

チャーハン大盛り

チャーハン、チャーハン

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( ゚∀゚)彡 チャーハン!チャーハン!
 ⊂彡

  _  ∩
( ゚∀゚)彡 チャーハン!チャーハン!
 ⊂彡

  _  ∩
( ゚∀゚)彡 チャーハン!チャーハン!
 ⊂彡

個人的に焼き飯は好きなので非常に好感触で、親近感が沸きまくりました。

・第二の感想-「相場」

自分の足で情報を集め、自分の耳でよく聞き、目で確かめる。

そして、自分の頭で考える。負けたらくよくよしない。

「百戦百勝」での米相場での種二の描写ですが、投資だろうが投機だろうが、やはり自分の調査しか成功にいたることがないことを確認。

あーだこうだ、他人の意見に振り回されてばっかりじゃ、結局、自分のものにならんのだなぁとも思いました。

「私のように無学のものは、何事も自分で経験しないうちは納得出来っこない。」

「そろばん」にはこのような記述がありますが、無学だからこそできるものでしょう。バフェットもいっていますが、IQが高くないと市場に勝てないわけでもないのです。

『納得』-これが大切なことだと思います。本当にキャッシュフローの意味がわかってるのか、とかね。

・第三の感想-「相場で勝っても・・・」

山崎種二は大成功を収めた数少ない相場師の1人であります。しかし、彼の創設した山種証券は昨今の競争に破れ、もう今はSMBCフレンド証券という名前になってしまいました。

事業は三代持てばいい、といわれますが事業の継続と存続は本当に難しいのだなぁと思いました。本小説の最後が、種二の引退で終わっており、なんともそれが現在のようなことを暗示しているようで、感慨に沈んでしまいましたね。

ちなみにおいらの家の近くにSMBCフレンド証券があり、その前を通るたびになんか、栄枯盛衰を感じてしまいますね。

とはいえ、証券会社はなくなっても、事業会社の「ヤマタネ」は生きています。この会社は米関連銘柄で、米の不作や豊作で株価が動くとのこと。

やはり、相場で儲かった金は「堅実なもの」に変えておけ、ということなのでしょうか?

・第四の感想-「ケチ」

そろばんより抜粋。わたしもタバコをやめようとして、やめたときに節約できるタバコ代の利回りをエクセル計算したのですが、人は同じことをするのですね。

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私は「先生。ひとつ、六年間ほど禁煙して、その代金を貯金してみませんか」と言った。というのは、日頃こんな計算をしていたからである。一日にピース一箱吸うとして、一年間の代金は一万四千六百円(当時一箱四十円)になる。

これを年一割はもうかるとして株式で運用したとすれば、六年目の終わりになると元金は実に十一万千六百四十九円になっている。つまり、七年目には、禁煙をといても利息でプカプカ吸える勘定だ。しかも、元金は減らない。

「どういうわけですか」と近藤さんが聞くので「これこれの計算で、ただでタバコが吸えますよ」と説明した。

すると、先生は「なるほど。でも、私はそんなにまでして、タダで吸おうとは思いませんよ」と逆襲された。私はタバコは嫌いである。だから、利息でタバコを吸うという計算が出来た。

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いいですねぇ、「タダでタバコが吸えますよ」

-参考文献-

「百戦百勝 働き1両・考え5両」 城山三郎 角川文庫

経済史・相場史としても面白く読めます。

なお、山崎種二氏の自伝「そろばん」ですが、今のところ絶版中で、ほとんど世に流通していないようです。

私の手元にログがあるので、「そろばん」が読みたいという人は、メールでもください。