成長性、成長というのは、止まるものである。市場にその商品なりサービスが行き渡ってしまえば、止まらざるを得ない。
株高というのは、ある意味、「企業の成長性への評価」である。
その評価の源泉たる成長性がなくなってしまえば、もっとしっくりいえば、萎んでしまえば、株を持っている理由理由がなくなる。
その他の成長している企業に投資資金を回した方が、「リターン」が大きくなるからである。
故に、成長性が天井に来た企業の株価は、どんどんと値が下がっていくわけである。
しかし、株価の値下がりを止める方法はある。
それが、配当である。配当は利益の配分ではあるが、見る地点を変えれば、「株価政策」の1つでもある。
では、どうして配当を出すと株価が下がらなくなるか、言い換えれば、下がりにくくなるかなのだが、配当を出すと、株券は一種の「債券」となるからである。
1000円の株価のついた株が、50円の配当を出せば、利率は「5%」となる。
日本国債の長期利回りが1%を下回っている現状、「5%」という利率は実に魅力的である。
そこで、当該株を買う人が現れるといった塩梅である。その企業が大丈夫だと踏む人なら買うだろうし、危ないと思う人は買わないだろう。
そこに「リスク」と「評価」とが生まれ、買い手も生まれるわけである。
結構前からマイクロソフトは配当を出すようになったし、最近ではシスコも配当を出すようになった。
配当を出す前だとマイクロソフトの株価は天井が見えて後は下がるだけだったが、今では「下げ止まり感」は如実にある。
これを書いている時点で、マイクロソフト(MSFT)の配当は、1株あたり80セントである。
株価が30ドルなので、2.6%の利率となる。ちなみに、アメリカ国債10年物が1.690%である。
リスクゼロが1.690%、一方、株価の値下がりというリスクを抱えて2.6%である。そこを「評価」するわけだ。
こう数字を並べてみれば、株式の値上がり以上に、株を買う投下資本に対する配当の割合に魅力を覚え、「こら悪くはない」と思う人は出てくる。
買い手が一定数現れれば、それに応じて市場もできあがってくる。
マイクロソフトの株価が、純利益の増減に関わらず、25~30ドル前後を行きつ戻りつしているのを見れば、株価対策という点では、成功しているように思われる。
参考:http://finance.yahoo.com/q/bc?s=MSFT+Basic+Chart