従業員数の平均在職年数は、企業の財政状態や経営成績に、直接的に関することではないが、重要な数字である。
四季報やヤフーファイナンス等でよく目にする「従業員数の平均在職年数」であるが、従業員数の平均在職年数が長いというのは、従業員が居ついている、ということでる。
言い換えれば、経営状態がよくて雇用条件や就業環境が良好であるといった次第である。
逆に、従業員数の平均在職年数が短いというのは、従業員が居ついていないということだ。
つまり、経営状態が悪くて、職場の雰囲気が悪かったり、労働環境や労働条件が厳しくて、人が長く働かない=退職者が多いという次第である。
加えて、従業員数の平均在職年数が短いのは、リストラの進行中ということもできる。
「首切り」という「リストラ」をしなくてはいけないくらい、経営が傾いているのだから、投資対象としては、考え物といわざるを得ない。
投資家が考えることではないが、従業員数の平均在職年数が短いと、長く勤める人がいないというわけで、新規従業員の教育訓練費の増加や技術等の継承がうまくいかず、「尻ツボミ」か「自然淘汰」になりかねない。
従業員数の平均在職年数が短いところは、投資的に注意が必要である。
当然のことながら、従業員数の平均在職年数は、単年度だけを見ても何もわからない。
少なくとも3年、普通は5年、よくて10年の単位で、従業員数の平均在職年数の推移を見てからにする。
このように、従業員数の平均在職年数は「企業の趨勢を占う上で、結構偽りのない生のデータ」なので、機会があれば見るようにしていきたい。
〆はいつものの通りに、「決算の数字・財務諸表の数字は結構嘘をつく」である。
ならば、できるだけ真実のデータに基づいて企業を評価すべきである。