「赤字にしたい会社」とは、税金を逃れるためである。主に非上場企業や中小企業が行う。
「赤字にする」とは、一口で言えば、脱税である。
税金は利益にかかってくるから、売上の一部を計上しなかったり(いわゆる申告漏れ)、費用を増やして利益を減らす(いわゆる費用の過剰計上)。
闇で「領収書」の束が1冊数万で取引されるのも、単純に、領収書に飲食費やら10万円以下のパソコン代・サーバー代・ソフト代、被服費の名称と金額を書いただけで、「費用を増やす」ことができるからである。
もちろん、架空の領収書なので、税務調査が入って領収書の発行先を突けば、ばれてしまう。
しかし、何十・何百のうち、一枚一枚の領収書を調べるような手間が、税務署にあるわけがない。
架空領収書や偽造領収書の数が異常に多いとスグばれるけど、「1年に1枚だけ」なら、目に付くこともない。
西武のコクド方式だと、利益が出た期は「短期借入金」を増やして支払利息を増やして、利益分を相殺したりする。
ちなみに、中小企業には、社長の家族が役員に名前を連ねているのも、「報酬」、つまり、人件費として会社の利益を少なくするためである。
こうやって、費用を過剰に計上して、費用の水増しするわけである。
また、赤字にするには、費用を増やすことに加えて、売上を控除することでも可能である。
代表的かつ合法的でよくあるのは、売上の計上を先延ばしすることである。
決算期が近い時によくある。本当は『当期』の売上だけど、今計上すると利益が出てしまうので、『翌期』に付け替えるという手合いである。
契約書の日付などいくらでも変えられる。
「契約してもいいけど、日付は○月○日にしてくれる?」といわれて、NOという営業マンなどいないだろう。
そして、売上の控除には、売上自体を計上しないやり方もある。
会社を通さず、社長や役員自身が、個人で請け負った形にして売上を除いたり、ペーパーカンパニーに付け替えて売上を除いたりする。
よく、「ある特定の会社」に、何をしているのかいまいちわからない会社名、横文字が並んだ会社名が並んでいる。
たとえば、「ネットほにゃらら」とか「リードなんたら」とか「グッドなんたら」である。それらは、こうした「役割」のある会社なのである。
こうやって、売上を帳簿から外して、利益が出るのを抑えるわけである。