本書の特徴旧版の「賢明なる投資家」の特徴はこちらで確認してください。このページで紹介する「新 賢明なる投資家 下」は、旧版の11章から20章までの章と、それぞれの章ごとのツヴイクの注釈が掲載されています。

かなりのユーモリスト
ジェイソン・ツヴイクは、「マネー」や「タイム」等でコラムニストを務めていたので非常に読みやすいのは、上巻と同じです。
おそらく、注釈のほうを先に読んで、グレアムの原作に進んでしまう人がいるのでわん、と思うほど軽快なペン捌きで「証券市場の欺瞞」を暴いていきます。
もともと、旧版を読んでいたので、おいらはそうなっちゃいました。おもしろいんですもん。
これそこ、ジャーナリストじゃんみたいな感じですね。ま、バブル崩壊後なのでアレでアレですが。

下巻のメインディッシュ
旧版でもおもしろかったのが企業比較です。なかなか、グレアムも冗談が好きなのか、比較となる企業群をみれば、グレアム先生の選択に当たってのセンスが感じられるってもんです。
さて、ツバイクさんはどうでしょうか?
かなり、いい線をいっています。
シスコシステムズとシスコの比較、ヤフー!社とヤム社の比較などの「名前上」での比較、ほかには新ビジネスと旧態依然の古臭いビジネスの会社の比較等々、かなり面白く読めると思います。
結局、株価に騙されてはいけない、ということが主張されているのですが、えてして、高い買い物になるかもしれない「カイ」を防ぐための、堤防つくりに資すると思います。
エピソード的に粒がそろっていますよ。

結論−どうすべきか
「新 賢明なる投資家 下」は、非常に面白い読み物ですが、旧版の「賢明なる投資家」を熟読した読者であれば、それほど必要ないと思います。
よっぽどの「マニア」でない限り。
ただ、これまで元ネタとなった「賢明なる投資家」を読んだことがない人なら、この「新 賢明なる投資家 上下」は、すばらしく説得力に富んだ形で目の前に現れるはずです。
「賢明なる投資家」の欠点は、それが古典であるため、書かれている内容が古く、いまいちピンとこないことが挙げられます。たとえば、13章、17章、18章という企業比較を行っている箇所では、その企業を知らないので「そういうもの」という前提で読んでいかないといけません。
わたしは旧版でも面白く読めたのですが^^;
そのため、説得力が落ちています。ま、過去のアメリカの企業なので仕方がないのですけどね。
しかしながら、この新版になってこの欠点がかなり改善されたと思います。でてくる企業のなかには日本でも著名な会社が出てくるのでそれほど、疎外感はないです。
なによりも、ツバイクのバブル期の人間の愚かしい行為の描き方が、グレアムの時代と現代とでも通じているものがあることを、はっきりわかるのではないでしょうか?
「市場は変わらない、変わるのは顔ぶれだ」
これは、稀代の相場師「ジェシー・リバモア」の言ですが、おそらく真実なのでしょう。本書で、その言葉を裏付ける、バブルに浮かれた人たち・企業・業界人の、ばかばかしい場面にいくつも遭遇しました。
ツヴァイクはいわば、この警句、何度も語られそして忘れ去られる証券投資の原理を、グレアムの原書を借りて言いたかったのだと思います。
それぐらい、カネに狂った人間がどういうことをするか、カネに酔った人間がそれを認めてしまうかを、ジャーナリストらしく、えぐりだしています。特に会計の詐欺師的行為には満腔の怒りを感じました。
死刑に値する罪、とまで表現してます^^;
ま、そんなまじめなところがあれば、面白いギャグチックな点も健在です。「会計の爆弾」など、優れて楽しい語句に触れられるのも、この「新 賢明なる投資家 下」の個性かな、と。
気の利いた語彙が増えますよ。
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