ウォーレン・バフェットをあまり知らない人のために簡単に説明すると、バフェットは株式投資、つまり市場を通じて上場証券を購入して、企業の部分所有を購入する一方で、企業全部を買収してビジネス全部の所有権を保有することもバフェットの投資の特徴です。 バフェットというと、株式投資家というイメージが強いのですが、どうしてどうして買収家としても非常に見るべきものがあります。 バフェットの研究家でピーター・リンチが嫌いなロバート・P・マイルズは、その著作で、「バークシャー・ハザウゥイ株一株を買うことは100社を買うことである」と、その株式の特徴をうまく言い当てています。 そう、バフェットの芸術作品、バークシャー・ハザウェイは複合的で多岐にわたるビジネスを抱えた総合?!企業なのです。 本当に、芸術ですな。
バフェットの買収の基準は、もちろんビジネスですので儲かっていることが前提なのですが、徹底的に「経営者」に絞っています。なにしろ、買収にあたっては、ものの15分弱で話が決まるのです。 買収によっては、契約書を交わすこともしないのですから、どれだけ交渉相手の経営者を重視して、それと同じ比重で信用しているかがわかります。 したがって、買収に当たっては弁護士も投資銀行も証券会社も入ってきません。ですから、買収に当たってのコストはとんでもなく安いものでしょう。非常に合理的です。多分、コーラ代くらいでしょう。 バ「売らないかい?」、経「2000万ドルでいいよ」、バ「オッケー」 経「買いませんか?」、バ「2〜3年の財務諸表を送ってチョ」、バ「買うよ」 こんなやり取りのようです。シンプルだw
経営者の基準 経営者の基準、それは「誠実さ」。バフェットはどんなにその事業が儲かっていて成長性・安定性伴に優良であっても経営者に誠実さが欠けているを踏むと見向きもしないそうです。
この二つの基準から見えること バフェットの経営者(CEO)としての方針は、無干渉方式です。その企業を買っても何もしません。役員を送ることもしません。なにしろバークシャーの本社には11人しかスタッフがいないとのことですから、送れないのが実情でしょう。 そう、この「無干渉方式」を貫くために、上記の「経営者が誠実である」基準が最も重視されるのだと考えます。 餅は餅屋、というのですが、買収先のビジネスを一番知っているのは、その被買収者、つまり被買収先のCEO(オーナーの人が多い)なのです。ですから、わざわざ、バフェットが役員を送り込んでも無駄なのです。 バフェットからしたら、買収先をほったらかしにしたいのでしょう、つーか経営的にもその買収先のCEOほどうまくできないので、経営者に誠実さを求めるのだと考えます。
バフェットは買収も変だ 買収、または合併というのはほとんどが失敗に終わります。赤字を出さなければ御の字くらいで、ほとんどが真っ赤になって終わる買収劇がほとんどでしょう。 バフェットの買収が変なのは、ほとんどの買収がうまくいっているということです。うまくいっている、というよりはもともとうまくやっていたので、バフェットの買収の前後だろうが関係なく、利益を積み重ねたともいえるでしょう。 バフェットがこの文章を読めば苦虫を噛み潰した顔になるでしょう。 多分、買収でいい成績を上げるほうが「ヘン」なのです。買収した会社も、買収された会社も企業文化をあわせるのは非常に難しく、買収前より悪くなる例が多いことを考えても、バフェットの買収は「ヘン」なのです。 バフェットは「バフェットからの手紙」で楽観的な企業買収を行う経営者をぼろくそに言っていますが、やはり、それをいえるだけの実績があります。 つまり、バフェットは株式投資だけではなく、企業買収についても卓越した能力を持っているのです。卓越しているでしょう、だってほとんどの買収が「悪くない」のですから^^;
シンプルな買収 先ほど述べましたが、買収に当たっては弁護士も投資銀行も証券会社も入ってきません。交渉はバフェットと経営者の二人が主です。 これは、M&A大国、アメリカのアンチテーゼではないのか、と思います。 M&Aがはやるのは、手っ取り早くカネになるからです。 かつて、日本の銀行が不良債権で苦しみM&A等の手数料ビジネスで稼がんとアカン、だが日本のM&Aは低調だ、低調だから業界の再編が進まないのだ、したがって日本もM&Aが増えないといけない、みたいな論調がありました。 ・・・ん、よく考えてください。いったい誰のカネになるのでしょうか?そう、それはM&A業者でしょう。しかも、買収に当たってほとんどの企業は、負債か資本勘定で取引します。 要するに、借金をして企業を買収するか、自社の株を割安に買収先を割高に評価した株式交換で買収するのです。ここでも、おおもとの株主はダメージを食らいます。そして、悪化する業績で再度、ダメージを食らうのです。 買収によって確実に利するのは、M&A業者でしょう。株主はホント、二の次どころか5の次くらいなのです。
能力の輪? さらさらと、メモを手繰っていると、こんなメモ書きが出てきました。 バフェット流・・・・・・能力の輪・・・自分の手に負えるか、いつアドバイスを請うか、どこに行けばもらえるか・・・ なんじゃらほい、と。確かぼんやり覚えているのは、買収に当たってのやりとりでそんなことが出てきたような気がするのです。 バフェットの買収は被りが多いです。家具屋は3社ほどありますし、宝石販売会社は数社、靴屋も2〜3社ほど、バークシャーの傘下です。 このような、業種の被り買収が行われるのは、その買収先のCEOに、買収に値する企業はないかとたずねたのが発端になることが多いようです。 前述した、餅は餅屋理論なのです。買収先の同じ業種であれば、買収に当たって最も適切で精度の高い評価をもらえるはずです。 「自分の手に負えるか、いつアドバイスを請うか、どこに行けばもらえるか」 これは買収に当たって大切なことではないでしょうか。買収に必要な情報は、投資銀行や証券会社ではなく実際、その業界のCEOに聞くのが最も手っ取り早いわい、というバフェットの合理的精神を感じざるを得ません。
なぜ、多くの企業がバフェットに買収されたのか、少し疑問であったのでいくつか考えてみました。 ま、いい値段だったから、というのもありますが^^
1:相続対策のため 逆に、買収されていなければ、創業者が死んだときに、株式の100%が相続税計算の対象になってしまいます。買収されていたら10%分の計算範囲ですむのです。 10%では不安ではないかと、思う人もいるかと思いますが、バフェットは買ったら売りません。それがいい買い物である限りは。彼の株式投資の履歴が最もいい証拠になっています。 買収される側にとっては、例え持分が10%しかなくても、のこりの90%はうごかないのですし、90%の持ち主は経営に対し干渉しないのですから、結局、変わらないということなのです。
2:買収対策のため 例えば、買収→会社の設備をライバル社に売りつけ→従業員リストラ→被買収先のビジネスを荒廃させてライバル社に売りつける、みたいな^^;
3:IRがめんどくさい 株主にとっては、利益を上げ会社の蔵にゼニを積み上げて、その結果、株式が正当な評価を受け、未実現キャピタルゲインを得たいのです。そう、うまいこといってるなら、それほど報告の必要なんてないのですよ。 (この、未実現というのがポイントですね^^) こう考えてみてください。もし、CEOがIRにその業務時間のうち20%使っていいたら、どうかということなのです。IRは会社の利益のどこに貢献しているのでしょうか? わたしは、つまらん説明会、虚妄なパンフレット、ホテルを借りて説明責任を果たされるより、1円でも多くのカネを蔵に積んでほしいです。 IRに対し、CEOが時間を使うことで、企業にとって最も必要な部分の時間が浪費されているとしたら、IR自体が株主にとって責任を果たしていないことになるでしょう。 バフェットの被買収先のCEOは、バフェットに買収されて事業に専念できるようになったというCEOもいます。これもバフェットの合理精神の現われかと思います。アメリカでも屈指の信者がいるIRなのですから^^
4:ゴルフ バフェットに買収されると、バフェットとゴルフをする特典が付いてくるようです。バフェットはよく、ビル・ゲイツやら著名なアメリカの財界・経済人とゴルフをするので、びっくりする人たちとゴルフを楽しめるとのことです。 大統領もゴルフのゲストの1人とか。
バフェットの経営を研究するのも、なかなか奥が深いので、いいアイディアが出たら、順次更新していきますね。 |
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