・投資と投機

グレアム著「証券分析」の第1部第4章「投資と投機」についての雑考。

Section− 失敗した投資が投機
投資と投機の区別は、グレアムの証券投資の根幹を成している考え方です。

バフェットも、株主への手紙にて、投資と投機の区別を厳密につけるようにといっております。

グレアムは、世界恐慌前の熱狂的な株価上昇と、恐慌後の株価暴落の原因は、投資と投機の区別が明確に定義されていなかったためでもある、といっています。

「われわれは通常の問題よりも徹底的に検討すべきであろう」と述べています。この「投資と投機」の理解は、今後の株式投資において、多くのお金をセーブするかと思います。

本章の本節を、しっかり読み込んでおくことをお勧めします。

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グレアムは、「証券投資」の著書の中で、一般的な投資と投機の分類として、以下のように言及しています。

・投資
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1.債券
2.現物買い
3.長期保有
4.インカムゲインが目的
5.安全な証券
・投機
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1.株式
2.信用買い
3.回転売買
4.キャピタルゲインが目的
5.リスクの大きい証券


グレアムは、上記の分類は、おおむね正しいといっています。が、個別的なケースを見るならば、完全には正しくもないといいます。

たとえば、投資の項の「1.債券」です。債券ならば、絶対的に安全であるとはいえないからです。

社債といった債券が紙屑になった例は、星の数ほどあるでしょう。また、国債といっても、債務不履行になった国の債券は事欠きません。

最近では、証券化された住宅債券というのもありますが、これもきな臭くなってきています。

また、バフェットが著書でも述べていますが、債券の利率がインフレより低いと、実質的に目減りしているのと変わりません。

「債券なら絶対安心」「債券なら投資」というわけでもないわけです。

そして、2.現物買いと信用買い、3.長期保有と回転売買については、「投資と投機の本来的な違いというよりは、一般的な購入方法とやり方に関するものである」と言い切ります。

この方法ややり方であるから、投資である、または投機であるとはいえないわけです。

本書中では、「戦時中の自由国債を借金をしてでも買」ったりするよう求められていたと述べられています。また、「短期の投資」が行われてもいますし、塩漬けにならざるを得ない「長期の投機」も、往々にして行われていると述べています。

手段ややり方で、投資と投機を定義付けるのも、厳密ではないというわけです。

4.インカムゲインとキャピタルゲイン、5.安全な証券とリスクの大きい株式については、ひとまとめに考えるとよいと述べています。

明確にいえることは、これらの厳密な区別がつかなくなってきていることです。たとえば、インカムゲインを求めると、利益の多くを配当(利息)にまわす証券を買うことが投資となりますが、利益の多くを配当等にまわす企業は内部留保が少なくなるので、安全な企業への投資にはならなくなってしまいます。

投資なのに投資でないという、矛盾に突き当たるわけです。

インカムゲインはバフェットからいえば、内部留保を行った場合に、国債以上の利回りが期待できないときに配当し、国債利回り以上が可能であれば、留保して再投資に回すべしといっております。

まさに、この言を踏まえていたからでしょう^^

また、キャピタルゲインも、究極的には、利益を上げなければその原点を期待できないわけです。利益も配当(インカムゲイン)も、結局の根は同じところなのです。

インカムゲインを求めるのが投資であり、キャピタルゲインを求めたのが投機であるという一般論に対して、何を求めたかで、投資と投機がわかれるわけでもないと述べます。

同様に、安全な「証券」を買っているから投資であり、リスクの大きい「株式」を買うから投機となる、わけでもないわけですね。

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Section2− 安全性

グレアムは、安全性についてこう述べています。

「投資における安全性は、それが証券購入者の思いや心理よりももっと具体的なものに基づいている場合に限って明確なものになるだろう」と。

投資は、十分に確立された明確な基準に基づいてこそ、安全足りうるものと結論付けていますが、まさにそのとおりだと思います。

みんな、「買い」の場合は、自分は安全だと思っていますが、それが本当なのかというわけです。

暴落の前に逃げ切ればよいという考えも結構ですが、事故らなければいいといって、公道を時速100kmで走行するのは、早く目的地に着くとはいえ賢明なのか、というわけですね。

グレアムは市場についてこう述べています。

「市場は、(それがどれほど高い基準であろうとも)現在の価格を次々と織り込み、それを唯一の価値として刻々と新しい基準を更新していく。こうしたダイナミックな動きに基づく安全性の考えなどが、明らかに錯覚であり、危険に満ちていると言えないだろうか。」

(アンダーラインと太字はおいらが付けました。)

要するに、テクニカル分析は、信用に値するものなのか、安全といえるのかと危惧を発しています。

個人的には、この太線の部分が一番、大事であると思います。

価格のみが、価値になっている投資というのはないでしょうか。もちろん、よい企業を安い価格で買って持ち続けるのが、バフェット流の投資哲学です。

ここでいうのは、多くの人が引っかかりやすい、「価格の高さ」や「価格の上昇」に警告を発しています。

どれだけ、長いスパンで上昇基調にあっても、高すぎる買い物は厳然として存在しています。

○○円圏なら安全、とか、××円ならまだ大丈夫というのは、いったいどういう意味があるのかを、説明して欲しいところです。

投資における安全性は、「十分に確立された明確な基準に基づくこと」にあることを、再確認したわたしでした。あーあ。

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Section3− 提案する投資の定義

グレアムは、投資の定義として、以下のように提案をしています。

「投資とは、詳細な分析に基づいて、元本の安全性と満足すべきリターン(投資収益)を確保する行為である。この原則を満たさない行為を投機と呼ぶ。

個々の細かい部分を見て行きます。

当たり前なのですが、「単に特定の証券を買うことを投資とは呼ばない」と釘を刺しています。

投資家ですが投機家ですか?

と質問されたら大半の人は、投資家であると答えることでしょう。

しかしながら、そのほとんどは、証券を購入しているだけの意味で投資家を自称しているものです。

まず、その証券を買う行為が投資に当たるには、「詳細な分析」が必要です。十分に確立された安全基準を元に、様々な事実を検討しなければ、投資に当たりません。

そして、元本の安全性にも、意を払ったものでなければいけません。グレアムは、「平時、またはかなり一般的な状況の下で、損失から身を守れる」という意味で、安全性を語っています。

つまりは、よっぽどの偶発的な事態が起きない限り、何年か先においても、穏当に健全に営業を続けて存続している企業の証券を買うのが投資に当たる行為なのです。

潰れるかどうかわからない企業の株を買ったり、損失隠しが判明してがた落ちした企業の株など買うなど、もってのほかというわけです。

そして、「満足すべきリターン」についても、よくよく目を通しておきたいところです。

十分な利益、大もうけと狙わないというわけです。

もし、元本が100万円で、1000万円の利益を求めるような行為は明らかに投機ですし、100万円が半年やそこらの短期間で200万円、300万円になるのも投機行為といえます。

元本に対して、満足すべき利益を求めるのが投資です。

バフェットのバークシャーでさえ、年10〜20%のリターンです。(ま、運用額が膨大というのもありますが。)

世界一の投資家でさえ、その数字であることをしっかり理解すれば、いかに、多くの人が危ない投機を求めているかわかるかと思います。

グレアムの投資の定義こそ、一般的な投資家が証券市場でリターンを上げ続けるコツが集約されていると思います。

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